2007年07月03日

本を読む本

『本を読む本』改訂版を読んでくださる日本の方々にご挨拶できることをうれしく思います。
この本が日本語に翻訳され、日本の一般読者の手に入るようになったことは、
私にとってこの上ないよろこびです。

日本は識字率のきわめて高い国であると聞いています。
また、日本の無数の書店には日本のみならず世界各国の書籍が満ち溢れ、
高い教育を受けた多くの人々が、あらゆる分野で、老いも若さも、
良書を熱心に読む国であるということも承知しております。

このような本が果たして日本の読者に必要なのだろうかと問う人がもしいたならば、
この本を読んでいただければ、かならず必要であることがお分かりになるに違いないと信じます。

(本書「日本の皆さんへ」 より)



本を読む本
  • モーティマー・J. アドラー、 C.V. ドーレン
  • 講談社
  • 861円
Amazonで購入
livedoor BOOKS
書評/サイエンス



著者紹介
【M・J・アドラー】
1902年生まれ、コロンビア大学卒業。シカゴ大学哲学教授、哲学研究所所長、エンサイクロペディア・ブリタニカ編集長などを歴任。
【C・V・ドーレン】
1926年生まれ。コロンビア大学卒業。同大英文学教授を経て、エンサイクロペディア・ブリタニカ・インコーポレイティッド副社長。
【外山滋比古】
1923年愛知県生まれ。東京文理科大学卒業。東京教育大学、お茶の水女子大学、昭和女子大学教授を経て、現在、お茶の水女子大学名誉教授。


本書「本を読む本」の第一版は、1940年に米国にて発行されました。
以降広く米国の読者に読まれ、高校や大学のテキストとしても用いられたそうです。
さらに、スペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語の格国語に訳され、
世界中の人にも読みひたしまれてきた、良書のようです。

日本語では、1978年6月に日本ブリタニカから刊行され、多くの人に読まれたそうです。
そして、1997年10月に講談社から文庫本として再発行されました。

その後も数多くの人に読まれているらしく、
私が手にしている本が第22刷発行とあることからもこのことが伺われます。

まずは目次です。

日本の皆さんへ
第一部 読書の意味
 1 読書技術と積極性
 2 読書レベル
 3 初級読書――読書の第一レベル
 4 点検読書――読書の第二レベル
 5 意欲的な読者になるには
第二部 分析読書――読書の第三レベル
 6 本を分類する
 7 本を透視する
 8 著者と折り合いをつける
 9 著者の伝えたいことは何か
 10 本を正しく批判する
 11 著者に賛成するか、反論するか
 12 読書の補助手段
第三部 文学の読みかた
 13 小説、戯曲、詩の読みかた
第四部 読書の最終目標 
 14 シントピカル読書――読書の第四レベル
 15 読書と精神の成長
日本人の読書――訳者あとがきにて


本書を手にしたのが今年の3月の終わりごろ、
「本が好き!」プロジェクトで献本を受けてからです。

最初に本書の冒頭に書いてある「日本の皆さんへ」を読み、続いて目次に目を通した時は、
その内容にとても興味を覚え、読むのが楽しみでたまりませんでした。

それが、なぜ3ヶ月も経った今、ようやく書評を書くようになったのか疑問にお思いでしょう。
それはこの3ヵ月間、本書を読んでは中断し、また読んでは中断し・・・
といことを繰り返してしまったためです。

ということは、本書は取るに足らない退屈な本だとお思いになるかもしれません。
しかし、決してそのようなことはなく、やはり題名の如く本を読むためには知っていた方がいい事柄ばかりでした。

ではなぜ・・・

それは本書に書かれていることはレベルが高いうえ、その表現が私には今ひとつ飲み込みにくかったからだと思います。

本書は難しく取っ付きにくい良書――古典的な文学小説、哲学書、技術書など――を、
如何に上手に読みこなしていくか、その方法が丁寧に書いてあります。

本書の目次にあるような手順を追っていけば、必ずしや読みこなせていけるようになっているのだと思います。

しかし、私のような表面的にしか本を読んでいない人間にとっては、その様な良書を読む以前に、本書自体の表現や言い回し方を理解するのに苦労を強いられていたのでした。

本書は、言うなれば本を読むための教科書です。
もう少し身近な存在として言うなら、携帯電話のマニュアルのような本です。

マニュアルを読まないからと言って、携帯電話が使えないと言うわけではありません。
それなりのことはできますし、電話やメールのやり取りくらいは簡単に理解できます。

けれどその機能を十分に使いこなそうとするなら、マニュアルをよく読むことは必須だと思います。
また、それらを読むとなると一筋縄では行かないという方が多いかと思います。

ちょうど、その感覚が本書を読んだ感じに似ています。

本を読むのも、ただ読むだけなら識字ができれば読み進められます。
でも、突っ込んだ読み方、理解を深める読み方をするにはそれなりの手順や方法があると思います。

そこで必要になってくるのが、本書で説明されているメッソッドとなるわけです。

私は本書を教科書や、マニュアルと言う位置づけで読んでいましたので、
思うようにページが進みませんでした。

それともう一つ、本書の中で本の読み手のとる態度と言うのがあり、
その中で本を批判することにも触れていることが、書評の遅れた理由でもあります。

『まず、<この本がわかった>と、ある程度、確実に言えること。
その上で、<賛成>、<反対>、<判断保留>の態度を明らかにすること』

と言う文章に当たり、本書の書評も下手にできないと言う釘を打たれてしまったのです。

読み手が読んでいる本を理解いしない限りは、同意も批判もしてはならない、
するべきではない、と本書では言っています。

これは、私のような表面的にでしか本を読んでいない者にとっては、少々耳の痛い事柄でした。

本書のような内容の濃い本を表面だけで読んだのでは、書評も書けない。
そう理解した私の行動は、ぴたりと止まったのでした。

これらのことが、私が書評をUPできなかった理由です。

しかし、それでは一向にことが進まないので、
まだ未熟ですが、この様な感じで読後の感じを書いてみました。

本書は書評を書いている自分にとって、とても大切なことを教えてくれました。
第二部の「分析読書」がそれに当たります。

その中で、著者は本の読み手が取る態度について書いているのですが、
このところが私に書評を書く上で必要なことを教えてくれたのです。

先に書いた、本を理解してからその本を評価することもその一つですが、
さらに、

『反論は筋道をたててすること』
『反論は解消できるものだと考えること』

と、私が今まで行ってきた過ちを気づかせてくれ、

『いかなる判断にも、必ずその根拠を示し、知識と単なる個人的な意見の区別を明らかにること』

と、アドバイスをしてくれたのです。

私は今まで、思いこみで書評をしていることが多く、時には感情的に書評をしてしまっていました。

本を評価するにはあくまで「中立的立場でないといけない」と言うことに気づかせてくれたことが、本書からの大きな収穫でした。

最後に本書の中で特に気に入った箇所を自分への戒めとして書いておきます。

『著者との対話から得る唯一の利益は、相手から何かを学ぶことにあり、
読書の成功は、知識を得ることにある。
読者がこのことに思いいたれば、
いたずらに論争するだけでは、何の益もないことがわかるだろう。
著者に反論したり、著者の誤りを指摘してはならない、などと言っているのではない。
「反論するだけでなく、賛成するにも、それなりの準備が必要だ」と言いたいのである。
どちらの立場をとるにせよ、読者が考慮すべきことは、ただ一つしかない。
書かれていることが、事実であり、事実であるかどうかということだけである』


今回の
本を読む本
は大変重い内容で読むのに骨が折れました。
決してお世辞にも読んでいて楽しいといえる本ではありませんでした。

しかし書かれている内容は、
読書をする上での心構えとして必要ではないかと思われる事柄だと思います。

この様な知識を持っているのと、いないのとでは、
本を深く読み込む時に大きな差が生まれるように思われます。

私には長く辛い読書になりましたが、得る事柄も多くまた気づきも与えてくれました。

書評を書く人にはぜひ一度目を通していただきたい書だと思います。


それでは、今日はこのへんで。
最後までお目を通していただき、ありがとうございます。

---------
3,671歩

今日のおすすめ本

本を読む本
  • モーティマー・J. アドラー、 C.V. ドーレン
  • 講談社
  • 861円
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livedoor BOOKS
書評/サイエンス







tsubuan358 at 23:56 │Comments(4)TrackBack(0)clip!方法論 

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この記事へのコメント

1. Posted by 本宮とが    2007年07月04日 18:30
つぶ庵さん、こんにちは。

私は大学時代にこの本読んでます。
> 1978年6月に日本ブリタニカから刊行され
おそらくこの版でしょう。見覚えがあります。

ただ内容は全く覚えていません。(×_×;)
熟読しなかったのでしょうね。

> 『いかなる判断にも、必ずその根拠を示し、
> 知識と単なる個人的な意見の区別を明らかにること』

なんて視点は全く私の辞書にないですから・・・
私もこの本を再読しないといけないようです。(爆)
2. Posted by ふんころがし    2007年07月04日 19:23
「本を読む本」というのは面白いですね。

私はもっぱら乱読なので、新鮮な視点でした。
しかし、難しそうな本なので途中で挫折しそうです(笑)

相互リンクの件、喜んでお引き受けします。
私のブログなんかにリンクを張っていただいて、ありがとうございました。
つぶ庵さんのブログの品位が落ちなければいいのですが(笑)

3. Posted by つぶ庵    2007年07月05日 05:35
とがさん、コメントありがとうございます。

>私は大学時代にこの本読んでます。
すでに大学生時代に読んでいるとは、さすがとがさん。
かなりの読書家だったことを裏付けますね。

>ただ内容は全く覚えていません。(×_×;)
題名を見ただけで、読んだことがあると分ること自体が凄いです。
私などは、手に取ったこともないので、
その存在すら知らなかったんですから。

>私もこの本を再読しないといけないようです。(爆)
たぶん少し読めば記憶がよみがえってくるのではないでしょうか。

4. Posted by つぶ庵    2007年07月05日 05:59
ふんころがしさん、コメントありがとうございます。

>しかし、難しそうな本なので途中で挫折しそうです(笑)
私も何度投げ出したくなったことか。(笑)
でも、ふんころがしさんはたいへんな読書家だから、
それなりに読みこなしそうな気がします。

どうですか、「本が好き!」プロジェクトに参加されてみては?
ただで本が読むことができますよ。
詳しくは、↓を参考にしてみてください。
http://www.buzz-pr.com/book/menu/

相互リンクの件、ありがとうございます。

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