2007年05月09日

エブリ リトル シング

5本足のクワガタから端を発した物語が次から次へと新たな展開を繰り広げるオムニバス小説。
全部で6話ある短編小説が見事にからみ合って読者に人生の教訓を訴えてきます。
一話一話の完成度も高く、必ずその中に人生に対する「教え」が隠されています。

最初の短編小説「クワガタと少年」に出てきた主人公の少年は、
その後直接的には現れませんが、残りの短編小説に大きな存在感を与えています。
そこのところの技法は見事としか言いようがありません。

それぞれの物語で主人公を支える人物のやさしさを垣間見た時、
心の底からなんとなく暖かいものがこみ上げてくるのを感じました。

意外な展開の連続で、
最後の一話を読み終えたとき素晴らしい一本の小説としてその姿を現します。
一度読み始めたら止まらず、一気に読んでしまいました。

(私が書いたアマゾンのカスタマーレビューより)


エブリ リトル シング
大村 あつし
ゴマブックス
(2007/5/7)



本書の著者大村 あつし氏は表計算ソフトの「エクセル」を利用した
マクロ・プログラミングの解説を得意とするテクニカル・ライターであり、
マクロに関する著作の総売上は100万部を超え、
「過去10年でもっとも成功したITライター」との異名を持つ方です。

一方で、ブログがまだなかった2000年から、毎週火曜日にインターネットでエッセイや連載小説を配信し、80万人の読者を獲得しているそうです。

そんな著者が本書で満を持しての本格的な小説デビューを果たしたそうです。

まずは目次です。

クワガタと少年
ランチボックス
アフター・ザ・プロム
彼女はいつもハーティーに
ビジネスカード
ボクはクスリ指

本書は、目次にある6編の短編小説からなっています。
その最初である「クワガタと少年」は数年前、同タイトルの絵本で発売され大反響だったそうです。

――― デパートの昆虫売り場に、1人の少年がクワガタを熱心に見ています。
クワガタ1匹の値段は3000円。
しかし、違うカゴには1匹300円のクワガタが売っています。

見たところでは、違いはありません。
その金額の差に疑問を持った少年は店員に理由を尋ねます。

すると300円のクワガタは足が一本なく、5本足で人気がないからだとの答えです。
しかし、見た目は全く他のクワガタと変わらず、角などはむしろ立派だと少年は言い、
そのクワガタを買うことに決めます。
少年は決してお小遣いが足らないわけではなく、ある思いがあったのです。 ―――― 

詳しいストーリーを知りたい方は ―→ ここをクリック

この話を発端に、残りの5編の小説がみごとにオーバーラップしてストーリーを展開していきます。
本書は単なる小説ではなく、一話一話にしっかりした人生の教えがうたわれているのに気づきます。

話の中では何気ない会話であったりしますが、十分に自己啓発の書としても通用します。
というより、自己啓発書なのでしょう。

著者は、人生の意義、喜び、希望、やさしさなどを本書を通して教えているのではないでしょうか。
その中でも「やさしさ」については、一つ一つのストーリの中心をなしているように私は思います。

それぞれの話の主人公は必ず誰かしらの支えがあります。
その支える気持ち、人を思いやる気持ちに触れたときは、胸が熱くなってしまいました。

こういった点を拾っていけば本書は感動の書にも変わります。

それとは別に、本書は読み物としての面白さもにも素晴らしいものがあります。
それぞれの話の中にたくみに張られた伏線が、後の話の中で意味のあるものとして甦ってきます。

その文章に触れたときは思わず「なるほど」とうなずいてしまいます。
その中でも、最初に出てきた少年は、後の物語には直接出てきませんが、ものすごく大きな存在感があります。

読者のイメージだけで、これほどの存在を残すとは、文章の組み立て方、構成が非常に上手なのでしょう。
「お見事」としか言いようがありません。

物語の終わり方もこれで終わりではなく、新たな旅立ちとなっていますので、
未来に対する希望が思い浮かべられます。

本の帯裏にある「7話目は、あなたが”主人公”です・・・」というフレーズにうまく結びつきます。


今回の
エブリ リトル シング
は、とても面白く、楽しく読むことができました。
あまりのストリーの素晴らしさに、思わず一気読みです。
先の読めない話の展開は読者の心をつかんで放なしません。

これほど面白く、不思議な感覚にさせてくれた本にはめぐり合ったことがありません。
また、ためにもなり、感動をも与えてくれます。

一話一話の完成度も高いですが、れぞれの話に絶妙に埋め込まれた伏線が、
6話を一偏の小説に仕立ててしまっているところは絶品です。

是非とも読まれてみることをお勧めします。

今年に入り、3冊目の文句なしの星5つです。
今年は、良書の当たり年のようです。

余談ですが、本の表紙にある2つの絵は立体視ができますから、
試してみてくださいね。

最後に、著者の大村 あつし氏のサイトのURLを書いて置きます。
http://www.fushicho.com/

アマゾンで、本書を購入されると特典があるそうですよ。
私は書店で購入しましたので、駄目です。
残念!


それでは、今日はこのへんで。
最後までお目を通していただき、ありがとうございます。

---------
3,672歩

今日のおすすめ本
エブリ リトル シング
大村 あつし
ゴマブックス
(2007/5/7)



tsubuan358 at 23:57│Comments(2)TrackBack(0)clip!小説 | 人生論

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この記事へのコメント

1. Posted by 本宮とが   2007年05月10日 05:31
つぶ庵さん、おはようございます。

ホ〜〜、これまたおもしろそうな本ですね。(^∀^*)
早速、注文しますわ!!

次々といい本を見つけて来ますね!?
一体どうやって??
2. Posted by つぶ庵   2007年05月10日 19:29
とがさん、コメントありがとうございます。

この本は、感動や教えなどとは他に、本を読む楽しさがあります。
オムニバスの小説は今までにも読んだことはありますが、
ここまで計算しつくされたストーリーの展開の本は初めてです。
是非、ご堪能してみてください。

それと、昨日忘れてしまったんですが、例の写真UPして置きます。
http://pics.livedoor.com/u/tsubuan358/2636564

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