2007年03月20日

「新しい貯金」で幸せになる方法

―あなたの生活を豊かにする「NPOバンク」「匿名組合」のススメ

いま、たくさんの「財テク本」が売れています。
自分であれこれ考えお金を増やすことは、大切です。

しかし、お金を貯めるだけで幸せになれる人はいません。
お金は使ってこそ、自分の生活を豊かにし、世のためになり、自分に返ってくるものなのに、
その運用の賢い方法について書かれた本はありません。

銀行に貯金さえしていれば、生活が豊かになっていく時代は終わりました。
働けど、働けど、生活が豊かにならないのはどうしてか?

それはあなたの貯金が、無駄なことに使われているからです。
それはあなたの投資が、一部の人間だけを富ませることに使われているからです。

本書は、マスコミであまり取り上げられることのなっかた
「あなたの貯金が何につかわれているか」
につい書いています。

(本書「はじめに」 より)


「新しい貯金」で幸せになる方法
―あなたの生活を豊かにする「NPOバンク」「匿名組合」のススメ

樫田 秀樹
築地書館
(2006/05)



本書の著者樫田秀樹氏は、18歳の浪人時代に海外を渡り歩く夢にとりつかれ、
20代前半はバイクで真夏のサハラ砂漠と真夏のオーストラリアの砂漠を走破したそうです。

帰国後、就職するが、企業社会に適応できずに1年で退職しまいますが、
1985年より2年間、NGOの一員としてソマリアの難民キャンプで活動。
1987年、オーストラリアで植林とナラボー平原を徒歩で横断。
1989年より、ボルネオ島の熱帯林を中心に、東南アジアの先住民を訪ねる取材を開始。
1997年、第一回週間金曜日ルポルタージュ大賞報告文学賞受賞。

という経歴をもたれています。

著者のこれらの経験をもとに、新たな貯蓄方法の提案をしているのが本書です。

まずは目次です。

はじめに
1.「貯金」をすると不幸になる?
2.豊かで幸せな生活のために
3.どうお金を使えば豊かで幸せになれるの?
4.あなたの貯金でできること〜NPOバンクガイド
5.あなたの夢に投資できる「匿名組合」の仕組み
6.これが本当の「金融」だ!
あとがき


私は、お金が大好きです。
大好きなお金だから、少しでも無駄なく効率的に使いたいと常日ごろから思っています。
ですからお金に関すること、特に資産運用に関しては極力勉強するようにしています。

ということで、今回「本が好き!」プロジェクトで私の大好きなお金を取り上げたタイトルの本
『「新しい貯金」で幸せになる方法』
が新たに献本されたので、誰よりも先に申し込みました。

アマゾンのカスタマーレビューでも全ての方が星5つ付ける良書のようで、
期待に胸を膨らませながら読んでいきます。


銀行や郵便局に預貯金すると、そのお金は回りまわって人々を不幸にする??
戦争や、乱発する公共事業はどうやら、私たちの預貯金から出ているようです。

そのうえ、善意であるはずのODAによる発展途上国の援助も自然破壊だとして、
その実態を暴露していきます。

住宅金融公庫、都市再生機構、新幹線、道路整備公団など公共事業を槍玉にあげ、
最終的には、それらの資金はみんな郵便局や銀行の預貯金から出ているので、
銀行預金、郵貯、簡保は悪だとしています。
(少なくとも、私にはそう思える内容でした。)

銀行の貸し渋りで、本当にお金が必要な人のところにはお金が回らない。
一部の人の利益のために、私たちの預貯金は使われていると力説しています。

そして、そのようなところにはお金を預けず、NPOバンクや「匿名組合」など、
身近なところへ投資してはどうかと提案しているのです。

著者によると、地域密着型のそれらの団体は、地元で困っている人にお金を貸していて、
目に見える投資が行われているとのことのようです。

悪を裁いて、善を育む。

この形式が受け、どうやらカスタマーレビューで星5つなのでしょう。
見事な文章力、洗脳力です。

しかーし

私は、日本国政府の方針に肩入れするわけではありませんが、
ここまで否定の連続だと、
「ちょっと待ってよ」
という感じになり、逆に反感を持ってしまいました。

この感覚はちょうど、先月読んで書評を書いた
なぜかモテる親父の技術
と同じ感じです。

そうです。
私は天の邪鬼なのです。(笑)

否定に次ぐ否定で、読んでいていささかうんざりしてしまいました。

確かに言われている事は事実かもしれませんが、
それが全てではないと思います。

あまり反論をしたくはないのですが、洗脳をとくために少し書きます。

まずは郵便貯金に関してですが、
私は、貯金がいけないのではなくて、そのお金を使って行った事業の失敗、
すなわち、政策がまずかったのだと思います。

著者はそこを貯金のせいにしているところが気に入りません。
お金は全く悪くありません。
それを扱った人間の判断ミスです。

次に郵便貯金で行われた事業ですが、
スマトラ沖地震のとき、モルジブのマレ島はODAで作られた防波堤のおかげで、
被害を最小限に抑えられたと聞きいています。

新幹線も、赤字路線の多いJRの中で黒字をずっと維持しています。

私は、都市再生機構の定期借地権の土地に家を建て、
その費用は住宅金融公庫から融資を受けています。

全てが全て、無駄ではないのです。

大体著者は、貯蓄、貯金、預金、投資、投機の区別がついていないように思います。
本文中にも『貯金と投資はじつは同じである』(P58)とありますし、
「銀行に貯金をする」と随所に書いてあるのには、お金を扱った本でこれはちょっとという感じです。

親しみを込めたつもりかもしれませんが、
私のように真剣にお金について考えている者にとっては???
という感じです。
信頼性が低下してしまい、返ってマイナス要因のような気がします。
(重箱の隅かもしれませんが・・・^^;)

本のタイトルからして、「新しい貯金」としてますが、
本書の中で「貯金」に関係があるのは郵便貯金をけなしている部分だけです。
そのほかについて述べているのは全て投資に当たります。

著者はNPOバンクについてかなり入れ込んで書いていますが、
そこにお金を預けても預金にも貯金にもなりません。
完全なる投資行為です。

そこをはっきりさせないで、NPOバンクの便宜性ばかり述べそれを善とするのは、
なんとなくおかしい気がします。

投資には、元本保証がありません。
いくら著者が奇麗事を並べたところで、
資金がショートしてしまったらそれでおしまいです。

著者はNPOバンクは安全な口ぶりで書いていますが、
郵便局や銀行の預貯金の安全性から見たら月とすっぽんです。
また流動性にも欠けますし、何時でも何処でもとはいきません。

さすがに「匿名組合」のところでは、リスクに触れますが、
それでもまだ不十分だと思います。

「匿名組合」などは、完全なる個別投資で、
株式取引の中でもIPO(新規公開株)に匹敵するほどのリスクがあると思います。
(新しく始めることだから、可能性は未知)

「匿名組合」の風力発電の例ではクリーンなイメージがあり、仲間に加わりたくなりますが、
その前に、自分の家の電気をソーラーパネルなり、エコキュートに変えるほうが、
CO2を減らすには有効で、電気代の節約にもなるし一石二鳥だと思います。

まずは自ら節約、そして余裕資金があれば他へ投資です。
いきなり本書を読んで共感して投資に走らないように一応警告しておきます。


今回の
「新しい貯金」で幸せになる方法
は、文章的にはリズムがありさくさく読みすすめて行くことができます。
また、国家事業をけなしているところは爽快感があり、気持ちよく読めることでしょう。(笑)

著者の主張もわからなくもありませんが、
あまりにもNPOバンクや「匿名組合」を美化しすぎているところは気になります。

最終的には投資家の判断になるのですが、
全てをそれらに変えるにはあまりにも無理があると思います。

本文の方でも書きましたが、この本に書かれている事は全て投資に当たりますので、
預貯金の感覚でされないようくれぐれも注意してください。

投資に関して精通されている方には参考のために一読されてもいいかと思います。

投資に関して知らない方や初心者にはお勧めしません。
万が一、損をしてしまっても「自己責任」という言葉で片付けられてしまいますからね。(笑)


それでは、今日はこのへんで。
最後までお目を通していただき、ありがとうございます。
 
---------
3,029歩

今回取り上げた本

「新しい貯金」で幸せになる方法
  • 著:樫田秀樹
  • 出版社:築地書館
  • 定価:1575円
livedoor BOOKS
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この記事へのコメント

1. Posted by 本宮とが    2007年03月21日 18:37
私の不信感むき出しの感情的な書評と異なり、
大変論理的にわかりやすく、不審点を論じて下さっており
「そう、そう。このことが言いたかったのよ!」
ていう気分です。
溜飲を下げることができ、非常に満足です。
ありがとうございました。<(_ _)>
2. Posted by つぶ庵    2007年03月21日 20:42
とがさん、コメントありがとうございます。

とがさんが毛嫌いしていた訳がよーくわかりました。
私も否定ばかりしているので気分が良くなかったです。
まだまだ書きたかったんですが、そうすると今度は私が
否定人間になってしまうのでやめました。(笑)

当ブログの趣旨はお勧め本を紹介するものなので、
本来読んで気に入らない本は載せないのですが、
本プロの趣旨なので、いたしかたない所です。
こういう時は、「かっちゃん」の後半を読みかえして、
仕切り直しです。(笑)

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